コラム

未来を生き抜く子どもの教育 第6話 『子どもの論理的思考力を育てるための親の心構え』
論理
出口式
幼児教育
オンデマンド
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無学年制

数学の分野で論理式を活用されています名城大学竹内先生と水王舎代表取締役の出口汪との対談「未来を生き抜く子どもの教育」の第6話をお届けします。
今回は子どもの論理的思考力を育てるための親の心構えについてお話しいただきます。

第5話では、算数を論理で解いていくことで、大学受験にまで対応できる強さが身に付くというお話でした。今回は子どもの論理的思考力を育てるための親が意識しなければならないことや学ぶための環境作りについての内容でお届けいたします。

アウトプットで論理を積み重ねコミュニケーション力を養う

竹内先生

竹内先生

前回「説明できる力」という話が出ました。私は個人的に親子算数教室というものをやっています。特に力を入れているのは文章題です。その文章題は、自分で読み解く力・論理を積み上げる力も大切ですが、自分の言葉できちっと説明できるということをすごく重視しています。解いたあと、お友達やお父さんお母さんに自分の考えをきちっと分かってもらえるように説明してもらいます。
さらに、無学年制でやっていますので、6年生の子が1年生2年生にわかる説明ができるか、逆に1年生2年生の子がお兄ちゃんに分かるような説明ができるか、自分の言葉でアウトプットできて論理というのは、完成すると思っています。

つまり、幼児の頃のインプット、アウトプットをすることによって論理というのは積み重なっていくのかなと感じています。

親が子どもの教育について意識を変える

そうですね。今のお話の中で「あっ!」と思ったことがあります。それは、親子で教えられているということです。出口式も幼児の場合、親がそばにいて一緒に学んでいます。

というのも、親は古い教育を受けてきて、古い価値観でいる人がまだ圧倒的に多いです。だから偏差値や成績、あるいは有名な大学に受かるとか、実績のあるところにみんなが行っているから行かせたいという人も多い。自分の子供にどんな教育を与えるべきかというところがない。でも、そこから意識を変えていかなければいけないのです。親が子供の教育を決定する責任があり、それを子どもが追っていくわけです。親の意識を変えるということが、大事だと思っています。

出口先生

出口先生

親が論理的思考力を育つことを奪っていることも

竹内先生

竹内先生

論理は先程も話しましたが、我慢強さがいる一方で、余裕のある環境の中ではないと身につかないと思います。先生がおっしゃるように親御さんの影響というのは大きいです。
僕も親ですから、子供を心配するっていう気持ちはわかるのですが、よくある風景で、親御さんと子どもと一緒にこの問題を解いてくださいと伝えます。ヒントはなしです。お母さんはお母さんで好きなように解いて、子どもたちは競争してやってみてくださいと言うのです。いろんなご家庭が周りにいて、楽しそうにして解いているのです。

でも、隣の子ができたと言い始めると途端に親御さんが我慢できなくなって「まだできないの?」とヒントを与えたりしてしまうのです。
出口先生がおっしゃったように、まさに今論理的な思考力が育っている一番大事な時間なのに、お母さんが奪っているっていうことになるのです。それにお母さんは気づいていないのです。
以前にお話しした計算力じゃないのですけれども、考え方がみんなより遅いという子もいます。でも、それは出口先生がおっしゃるように個性なので、速く考える子もいればじっくり考える子もいるということです。
だから、余裕のある環境の中で、勉強していかないとその個性が育ちません。お母さんお父さんがせかすような環境だとなかなか論理的思考力が育たないと感じています。

勉強嫌いの子はいない、分かることから始めればいい!

本当に親の意識というのはすごく大事です。
それに勉強嫌いの子は、いないと僕は思っています。わからないからつまらない、怒られるから嫌だと思っているだけで、分かれば楽しいですからね!自分ができるなって褒められたらうれしいですよね。
私はその子がわかるところからやっていけばいいと考えています。そこで出口式は無学年能力別のクラス編成をやっているわけです。

これは学校の集団では難しいと思います。どうしても集団の場合は、その平均値に向かって、先生は講義をするしかないので、上の子も下の子もなかなか面倒を見きれないことがあると思います。
出口式では少人数、無学年制でやることによって、先生が一人ひとりの子どもを見ることができるし、その子がわかるところから、その能力に応じてどんどん進めることができるので、楽しいからやる気になり、どんどん伸びていって勉強が好きになると思います。
私は、勉強が好きで生涯自分で勉強していくような大人になる子どもを作っていきたいのです。

出口先生

出口先生

出口式の無学年制の強み

竹内先生

竹内先生

国語と算数で教科的に事情が違うかもしれませんけども、集団で学年制という壁を取り払っているのは、すごくよいと思っています。
先ほども話しましたが、学び合うということ、それから学校ではなかなか自信の持てない子が、自分よりも小さい子に説明して「お兄ちゃんの説明はわかりやすいね」と言われたら、ぐっと自信が出ます。
逆に6年生に対して1年生2年生の方がうまい説明することがあります。知識が増えた分、それに頼る高学年ですが、知識がない分、自分の言葉の論理でやろうとする低学年の子を高学年が感心して褒めると、低学年の子どもは大喜びします。こうやって、算数や数学をやったら得意科目になっていくと思います。

好きが先か得意が先か、どちらもあると思いますが、好きというのは絶対大事だと思います。その好きというのは、自分自身でも育てることができるのですが、やはり周りの環境とかお友達とか先輩後輩とか親御さんとか、いろんな環境の中で好きになっていく環境はある程度作り上げていかないといけないというふうに思いますので、その分出口先生のお教室でも無学年制でできるので、すごく楽しみですね。

オンライン授業の学習効果

その通りですね。やっぱり好きになるということが大前提ですよね。子供が学ぶこと、その教科を好きになるということ、そのための環境づくりというのはとても重要です。
今、時代の流れでオンラインというのがどんどん盛んになってきて、出口式論議アカデミーも開いてオンラインを本格的に始めました。
やっぱり対面じゃないと嫌だという方もいらっしゃり、対面は対面の良さがあると思います。それぞれ一長一短ですけども、実際にオンラインやっていると思っている以上に学習効果が高いのです。感覚的に言うと、画面の中で子ども一人一人が先生と正面から向き合って一対一でやっているような感覚があるのです。

さらに、例えば幼児の対面授業で、一人の子がやる気がなかったり、グジグジ言ったりすると、それで教室全体がそういう空気になってしまうことがあるのですが、オンラインだとあまり気にならないのです。

出口先生

出口先生

竹内先生

竹内先生

そうですね。

そういう良さもあって、さらに地方に住んでいる方が、出口式の教育を子供たちにやらせようと思っても、東京まで来ることは無いですから、どこでも最先端の教育を受けることができる、すごい時代だと思うのです。

出口先生

出口先生

今回の第6話は、子どもの論理的思考力を育てるための親の心構えや環境作りについての対談でした。
第7話は「オンライン授業だからこその学習効果について」についてお届けいたします。お楽しみに!

<プロフィール>
竹内 英人(たけうちひでと)
元愛知県公立高校教諭。現在名城大学教職センター教授。
未来の中高の数学の教員を養成している。啓林館中学、高等学校数学教科書著者FocusGold代表執筆者
その他著者多数

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