コラム

未来を生き抜く子どもの教育 第3話 『子どもたちが他人の言葉に支配されるような人生にならために』
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数学の分野で論理式を活用されています名城大学竹内先生と水王舎代表取締役の出口汪との対談「未来を生き抜く子どもの教育」の第3話をお届けします。
今回は、「AI時代に対応した子どもの脳とは」についてお話しいただきます。

第2話では、今までの教育では、機械的に問題に取り組む脳として完成されてしまうことへの危機感についてのお話でした。
今回は、AI時代に対応し子どもの脳をデザインする時期や必要性について、という内容でお届けいたします。

AI時代に対応した子どもの脳とは

出口先生

出口先生

予備校の先生が数学は暗記という先生が多くて、解法を記憶して計算していく。確かにそれで問題は解けるけれど、何のためにそんなことやるのか考えないのです。

受験の合格という目的のためだったらある程度はわかりますが、本当に難しい大学への対応は多分難しいだろうなと僕は思っているのです。解き方を機械的に暗記することは無意味で、さらにそれを幼児からやらせたらどうなるかという危機感を持っています。

子供たちは何も考えずにただ計算すると、答えを自分で考えずに、誰か求めて、それを記憶する。言われた通り、ただ機械的にやるという脳として完成されてしまうのです。

そうすると、自分でものを考えない。さらにはきちんと表現できない。さらには他人の言葉を鵜呑みにして、それに従ってしまう。
他人の言葉に支配されるような人生を送ってしまうと思うのです。それがまだ昔だったら良かったのですが、これからのAI時代は、そんな人間では生きていくのが難しいと思うのです。

だから、幼児のうちに一生懸命、塾とか教室に入って必死になっていろんな知識を詰め込み、何けたの計算ができたなんて言ってやっている、そんな子供は、これからの時代に使えないような脳を作ってしまうというか、どんな脳に育つのだろうと思ったらゾッとするのです。

計算力で基礎学力をつけるっていうのは、決して悪いことではないと思うのですが、先生がおっしゃったように、やっぱりそれだけだと困りますね。それと同時に幼児・児童の頃から論理というものを同時に学んでいくということが大事です。算数数学の立場からいうと計算力は、後からでも幾らでもつきます。

よくある話で、数学者の人たちが、数学計算がみんなすごく速いかというと、そういうことでもありません。私も昔、計算が遅かったです。それはなぜかというと、じっくりこの計算の意味ってどうなるのかな、みんなは九九に当てはめれば解けると言っているけど、本当にこれって掛け算でいいのかなというのもじっくり考えていました。だから決して計算がすごく速いということは悪いことではないですけれども、最良ということでもないのです。

よくお母さん方にうちの子は計算が遅いんですけど、と相談されますが、それはお子さんが自分の頭で一生懸命筋道立てて、これでいいのかなと考えているので、むしろ将来的にすごく楽しみになりますよっていうお話をするんです。でも、なかなかそこら辺がわかっていただけないということもありまして、論理というのは早いうちから大事なんだよということを我々が発信していく必要があるのかなというふうに思います。

竹内先生

竹内先生

算数も言語と同じ

出口先生

出口先生

そうですよね。専門家の前でちょっと間違ったことを言ってしまうかもしれませんけれども、僕は幼児期の四則計算というものは大事だと思っています。それは、算数も言語だと考えているからです。
だから、算数の言語を習得しないと算数の言語でものを考えることができない。だからあくまで四則計算というのは算数の言語をある程度習得する、そこまでは大事かなと思うのです。
でも、それが目的ではないということなのです。そういう意味では幼児期に算数の四則計算がきちんとできない子は、やっぱりそれを使って次に行きづらいというのは確かにありますが、それは基礎学力としてやれば誰でもできることなのです。
それは本当にスタート地点でのことであって、ゴールとか目的ではないと思います。次回は、その次のステップについてお話します。

今回の第3話は、AI時代に対応した子どもの脳についての対談でした。
第4話は「論理を積み重ねて解決する力を身に着ける」についてお届けいたします。
お楽しみに!

<プロフィール>
竹内 英人(たけうちひでと)
元愛知県公立高校教諭。現在名城大学教職センター教授。
未来の中高の数学の教員を養成している。啓林館中学、高等学校数学教科書著者FocusGold代表執筆者
その他著者多数

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