コロナは収束に向かっていますが、私たちはさらなる驚異に備えて、準備をしなくてはなりません。何よりも、もう昔の生活には戻れないということを肝に銘じておくべきです。教育産業も例外ではなく、これからはオンライン授業が広がっていくことでしょう。
アフターコロナで会社は全面テレワークに切り替え
私が経営する水王舎は出版社ですが、自粛要請を受けて、全面的にテレワークに切り替えました。そして、自粛要請が解除された後も、政府の方針とは関係なく、この働き方を継続していくつもりです。
もともと私は、自由で社員の一人一人が創造的な仕事をする環境を作りたかったのですが、やはり保守的な考え方の社員が多く、なかなか大きな改革ができないでいました。それがコロナで一気に変えられたのです。
具体的に言えば、基本的には仕事の環境は自分の意志で自由に選択できるようにしています。テレワークのほうが効率のいい場合は、出勤する必要がないし、逆に対面のほうが効率いいと判断したならばいつでも自由に出社できます。その場合も好きな時間に出社して、好きな時間に退社。当然、タイムカードは廃止です。服装も完全に自由。朝10時20分にzoomによる朝礼を行いますが、パジャマのような服装で参加する社員もいます。
実際に実行してみると、思った以上にスムーズにできています。苦痛極まりない満員電車に乗ることがなくなり、行き帰りの通勤時間も節約。ただ会社で時間を潰せば給料がもらえるという社員も、当然立場がなくなるわけです。残業も基本的にはなくなり、営業が書店に足を使って訪問することもなく、メールかファックス、電話による営業が中心になります。
その結果、仕事の効率が上がるだけでなく、一人一人の社員がどのような方法がいいのか、自分で考えるようになりました。肌の合わない人間と無理なコミュニケーションを取る必要もなく、個人が自由に仕事できるようになったのです。
経営者目線で考えると、大きなオフィスが必要なくなり、家賃だけでなく、さまざまな経費が大幅に削減できました。また残業手当や交通費の削減も馬鹿になりません。支出を大幅に抑えることで、経営の健全化を図れたのです。
コロナ後、社会全体はどうなるか
このことを社会全体に拡大すれば、コロナ後に厳しくなる業種がかなり出てくるということです。たとえば、美容、ファッション、化粧品なもも売れなくなるでしょう。テレワークを中心とする企業が増えれば、外出が減ります。そればかりか、顔の半分をマスクで隠すわけだから、着飾る必要もなくなります。
高級車やブランド品もあまり売れなくなるに違いありません。日本の産業構造そのものが激変する可能性さえあります。電車や飛行機など、交通機関も乗客が確実に減るでしょう。さらに外食産業も、夜の接待業も客が減るのではないでしょうか。誰もが自宅で食事を取ることになれてしまい、わざわざ外食をしようとは思わないでしょう。夜は家でおとなしく食事を取ることが一般化するかもしれません。会社が終わると、接待と称して夜の街に出かけることも減るに違いありません。
出版界も激変します。書店よりも、ネットで本を買うことが主流になり、書店や取次の経営は厳しくなるでしょう。コロナによって、出版業界にもネット社会が本格的に到来したのです。
我が社も当然、出版や営業のやり方を大幅に変えました。今までは高い広告費を使って、新聞や電車の広告を打ち、営業マンが書店を廻って注文してきましたが、今後はこうした営業形態は一切廃止。
私はYouTubeチャンネルを開設しました。「出口汪の学びチャンネル」です。
YouTubeチャンネルでは、一定の登録数と再生回数を満たせば、広告費をもらえます。その結果、広告費を払って宣伝するのではなく、逆に広告費をもらって、本を宣伝できるのです。
しかも、直接広告するのではなく、視聴者に有益な情報を無料で流すことによって、私の仕事に関心を抱いてもらい、その結果、私の本が売れ、私が主催する「出口式みらい学習教室」や「出口式音声講義」に集客できるようになります。私が流す情報やその内容に共鳴し、本当に必要な人だけにその商品を届けられるのです。私の仕事は、YouTubeやnote、Facebook、Twitterに記事を書き、それらを有機的につなげることで、商品の売り上げを上げることです。