コラム

出版業界はこれまで以上に衰退する ~ noteを使ってみてわかったこと
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出口 汪
論理的思考
出口式論理エンジン

新型コロナウイルスによる自粛要請が長引き、私はここぞとばかりにnoteで執筆活動をはじめました。そこで気づいたのは、出版業界の厳しさ。自ら出版社ももっている私、出口汪が、今後遭遇するであろう出版業界の危機についてお話しします。

出版業界は今まで以上に厳しくなる

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コロナのため、「出口式みらい学習教室」は2020年3月に続いて4月も休校になりました。募集期に当たるため、経営的には大きな痛手ではありますが、こればかりは自分でコントロールできることではありません。そこでこんなときこそ、自宅でじっくりと執筆に取りかかろうと、このたびnoteをはじめることにしました。今後私のすべての執筆活動は、このnoteを起点としていくつもりです。

ところで、noteをご存じでしょうか? 実際にnoteに記事をアップしはじめて、恐ろしい事態になると気がつきました。私は今出版社を経営していますが、これからはほとんどの出版社、取り次ぎ、書店の経営が、今まで以上に厳しくなるのではないでしょうか。この問題は単に出版業界に留まらず、日本の業界地図を大きく塗り替えるかもしれないので、私なりの予想を記しておくことにします。

まず誰にでも指摘できることは、本や新聞を読む人がめっきり減ったことでしょう。実際、電車に乗っていても、大方は熱心にスマホを覗き込んでいるばかり。新聞が読まれなくなると、新聞社は広告収入が断たれることになります。若い人たちは、テレビよりもYouTubeを見るようなので、当然企業は新聞やテレビよりもYouTubeのほうに、より広告を出稿することになります。広告代理店も、先行きが見えなくなっていきます。

さらには電子書籍の出現、アマゾンなどネットストアの繁栄により、書店で購入する人の数がドンドン減っていくでしょう。取り次ぎは大量に返本し、そのしわ寄せが出版社に廻ってきます。こうした状況がより深刻になっていくのは、まさにこれからなのです。

しかも、今後プラスになる材料がどこにもありません。おそらく多くの書店や出版社が次々と倒産し、一定の数に間引かれてようやく細々と経営を維持できるのではないでしょうか。そこにnoteの出現です。

これからの時代は自分のコンテンツが財産に

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今までよほどの実績がないと、商業出版はできませんでした。しかも出版社の意向が反映され、著者は自由に書きたいものを書くわけにはいきませんでした。ところがnoteでは、誰もが文章を書き、それを販売できます。一冊の本を書き上げるには膨大な時間がかかりますが、noteでは、一つ一つ記事として書き、それをまとめて有料で販売することも可能なのです。

またおもしろい記事はツイッターやフェイスブックを通じて、ドンドン拡散されていきます。それらをまとめて一般書として刊行することも自由です。誰でも簡単に、好きな文章をお金にできる。もちろん写真やマンガ、絵でもかまいません。

これからの時代は、自分のコンテンツを自己の財産として所有することになります。それをビジネスに変える手段がドンドン出現しています。そこに気づいた人が、これからの時代勝ち馬に乗れるのではないでしょうか。

たとえ著名な著者であっても、出版社から本を出せば、その版権は自分のものではなく、出版社のものになります。しかも印税は10%程度。ところがnoteでは、著者が直接読者に販売するので、手数料を除いてほとんどが著者に取り分となります。出版社のように在庫を抱えることもないし、取り次ぎから返本されることもありません。第一、書店に運ぶ必要さえないのです。

受験産業でも直接ユーザーに届ける時代に

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出版社を経営している立場としては、何とも恐ろしい時代になりました。そして、媒介を通さずにクリエイターが直接ファンにコンテンツを届けるという形態は、出版に留まらず、私が関係している受験産業でも同じことが起きています。

東進衛星予備校は、高い授業料で講義を配信していましたが、今やスタディサプリをはじめ、わずかなお金で一流予備校の講師の講義が聴き放題となりました。そして、今後は自信のある予備校講師が、本格的にYouTubeに流れていくことでしょう。そこでは、生徒は無料で好きな講義を受講できます。

ゲームや音楽などと同じように、予備校の講義も無料の時代がやってきたのです。

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