このメソッドは論理のとても大切な9つの点を簡単に分かりやすく説明したものです。
論理とはどういうものかということを理解いただけると思います。今回はいよいよ最後の9つ目「心情を把握する」についてご説明いたします!
心情を把握する
9つ目の「心情を把握する」は、ちょっと他の8つとは違って小説の場合は登場人物の心情気持ち、随筆の場合は作者の心情。こういった心情を客観的に把握できることが大事になってきます。
小説問題には登場人物の心情把握が重要です。これは、小説の場合は登場人物の心情を客観的に捉えることが必要であり、主観を排除して根拠に基づいて心情を分析することが重要だということです。
一方で、多くの人は小説を文学作品として捉え、論理的な分析ではなく感情的な理解が重要だと考えている傾向があります。しかし、実際に小説問題を解くためには、小説を読む行為と問題を解く行為は全く別のものです。
具体的に説明すると、小説を通常読む場合は、1ページ目から順に読み進めて状況や登場人物を理解していきます。一方、小説問題は途中の一場面を取り出して問題化されるため、その状況を正確に把握する必要があります。つまり、通常の小説読解とは異なる読解力が求められるのです。
したがって、小説問題を解くためには、その一場面の状況を正確に捉える訓練が重要です。単に想像するのではなく、客観的に登場人物の心情を分析する能力が必要となるのです。
心情の現れ方
では、 心情はどのように現れているのか、問題を解きながら見ていきましょう。
例題1:動作から心情
小学生のグループが数人、公園で遊んでいた。外から眺めていると一見仲良さそうに見えたが、 1人の女の子だけが笑いの輪の中に入らないでいた。さあ登場人物の心情が分かるような動作をチェックしましょう。
「女の子はじっと拳を握りしめたまま、黙って突っ立っていた」心情の根拠を示しているのは・・・
・一人の女の子だけが笑いの輪の中に入らないでいた
・突然、女の子は「私、帰る」と言い出した。
が答えとなります。
例題2:セリフから心情
今度はセリフから心情を捉えていきます。
彼が死んだという知らせを聞いたとき、彼女はポツンと「いい気味だわ」と呟いた。
—セリフは「いい気味だわ」と。でも実は心と裏腹のことを人間は言う場合があるのでいい気味だと言ったから喜んでいるかどうかは分からない。だから文中から根拠を探していきます。
彼女は彼と 結婚する約束を交わしていた。彼女のお金で新居の用意までした。だが、いつの間にか約束は反故にされてしまった。そんな彼が交通事故で即死した。
—ひどい目に合わされていますね。
心の中で、「いい気味」と繰り返し呟いたが、涙が自然と頬を伝わってきた。
—悲しくて泣いているのか、嬉しい涙なのか分かりませんよね。
では、なぜ涙が出てきたのか・・・根拠は・・・
こんなにも彼を愛していたのだと、改めて自分の気持ちを知って驚いた。
—ということは彼が死んで泣いているわけです。答えは 悲しみとなってきますので「ア」となります。
例題3:風景描写から心情
今度はセリフから心情を捉えていきます。
風景描写、情景描写とも言いますが、同じ風景を見ていても見え方が異なる場合があります。
例えば海に夕日が落ちる風景を見ているとしましょう。失恋して1人で見ている時と恋人と寄り添ってみている時とでは、同じ風景でも違って見えますよね。つまり小説における風景は登場人物の目に移った風景=登場人物の心情が投影されているのです。
目の前の木々も遠くの山も全て真っ白で、自分の主観で綺麗だなあと捉えてはいけません。
この文章には心情から表す直接の言葉はなく、風景描写から捉えていきます。
問題の選択肢をみると、感動や喜びではなく「イ 悲しみ」が答えとなります。
長い小説の1場面を切り取った問題がほとんどなので、その中で心情を表す根拠動作、セリフ、風景描写から根拠を探し出し、客観的に心情を把握していきます。
出口汪が直接指導するセミナーを開催いたします。
・セミナーの詳細はこちら!
また、今後のセミナーの開催情報は決まり次第、論理アカデミーやYoutubeに概要欄に告知してきますので、ぜひチェックしてください!